落ち込んでいてもあかん。えいやっ!と57歳でコミュニティデビューした夜
パンを作ることだけが仕事じゃない、とはわかっていた。
でも、注文がない。暑くて売れない。頭ではわかっていても、メンタルはなかなかついてこない。
葛藤しながらPCを開開けた。けど、ぼーっ。
そんな時、ふと20年ほど前の記憶がよみがえった。
リーマンショックの渦中で聞いた言葉
2008年、顧問先の鉄工所のおかみさんがこんなことを話してくれた。
「今は週1回機械を動かせば十分なくらいしか仕事がなくて、すごく不安。でも、忙しいときは旅行どころか子どものこともまともにできなかった。だから今のうちにフランスに行ってくることにしたの。」
当時の私はサラリーマンとして顧問先の声を聞く立場だった。「そうですかぁ」と相槌を打ちながらも、正直なところ実感はなかった。仕事がない不安も、売上が消える恐怖も、頭ではわかっていても、どこか他人事だったのだと思う。
あれから20年近く。自分が事業者になって、はじめてあの言葉の重さがわかった。
蓄えもリスクの大きさも、私とその方とでは比べものにならない。それでも、収入が細っている真っ只中に「フランスに行く」と決めた判断力と行動力。不安をエネルギーに変えて、お金も時間も豊かな方向へ使えるそのマインドに、今さらながら心から脱帽する。
うつむいて他責にしても何もない…むしろマイナス。ドドド〜〜ンっと背中を押された気がした
えいやっ!と飛び込んだコミュニティ
その夜、ずっと気になっていたオンラインのパン屋・お菓子屋コミュニティに、初めて参加してみた。
57歳のデビュー。なかなかの勇気が要った。
自分より一回り二回り若い事業者さんたちが数十名、ざっくばらんに話している。最初は聞き専で接続するつもりだったのに、開催者の方にすぐ見つかって自己紹介することに。何を話したかはあまり覚えていないけど、岐阜弁全開でなんやかんや話した気がする。
送料のこと、賞味期限のこと、表示ラベルのこと——みんな同じところで悩んでいた。
目からウロコの一言
道の駅でパン販売をしている開催者(関東圏)の方に、思い切って聞いてみた。
「この暑さでは、販売は難しくないですか?」
返ってきた言葉はシンプルだった。
「人の流れがあるところは、めちゃくちゃ売れますよ。パンを目当てに来た人じゃなくても、人が集まるところに自分が行くということが大事だってつくづく思います。自宅店舗はさっぱりですもん」
ハッ😳。
私のパンは全然認知度されていない。だから、お客さんを待つだけじゃダメなんだ。人が集まる場所に、こちらから出ていかないと。
背中を押してくれた人たち
翌日、開店当初からずっと気にかけてくれているクセ強めの植物販売の知人から連絡が来た。
「お盆は帰省客がうちに結構来るから、店内の一角(冷房完備)で売ってみたら?売れるかは…知らんけど笑」
このタイミングで、このひとこと。俄然メニュー構成に気合が入った。
一喜一憂しながら、朝から晩まで人の知恵と手を借りて生きている今週。85歳の大家さん(実母)が作ってくれるご飯にも、ありがたさをしみじみ感じる。
あーだこーだ過去を振り返るより、今を濃く生きよう。そう思える一日だった。